Ａの魔法陣〜浪速のガンパレード・マーチ〜
勧めるだけ勧めといて自分がプレイレポートをあげないのもあれなので、「Ａの魔法陣」を遊んでおりました。キャラクターはプレイヤーの同一存在だ、というのがまずＰＬ陣に大受け。当然推奨キャラクターは自分自身。
西暦１９９９年１１月、九州と四国を放棄した日本軍は大阪まで追い詰められていた。後に言う大反攻作戦「茜作戦」の前夜である……という適当なシナリオ。
松原貴典 主人公
高松出身の学兵。難民キャンプにいる家族をテント暮らしから解放するために新設された戦車部隊のパイロットに志願した学兵。特別な能力があるわけでもなく勇者でもない。そういう生物。決戦存在。「農学」とか「戦車兵」とか地味な成功要素で着実に事件を解決する。geminassの第五世界における同一存在。
“青にして濃紺”加納正章 相棒
失われたガンプ・オーマの一柱にして風を渡る者、“Ａ”*1の弟子にして芝村準竜師子飼いの幻獣殺戮者。弁髪で関西弁の１２歳。
“Ａ”から授けられた「アバン流槍殺法」や「４８の必殺技」「５２の関節技」「モモ・スペシャル」などを駆使して戦う一方、「大阪の地理」や「民明書房」にも通じる知性派。加納の第五世界における同一存在。
能登南弥子 専門家
京都出身と言われているがその経歴は全て抹消された謎の少女。１４歳にして百翼長の地位にあり、磯島独立戦車小隊を率いる。学級委員を兼任する知性派。
だがその実体は深刻な「２ちゃんねらー」でかつては風を渡り「ファミコンジャンプの主人公」だったこともある「ロケットパンチ」の使い手で「ガノタ」の「シューター」でまたの名を「新宿ジャッキー」。
得意技は「十六連打」とアルター「マッドスクリプト」。いいかげんにしろ（笑）。のとすさんの第五世界における同一存在。
ケント＝ヨシナガ 仲間
「アメリカンスピリッツ」と「ヤマトダマシイ」を兼ね備えた日米ハーフの整備員。だが「ひきこもり」で「図書館で得た知識」に頼っている。得意技は「ハッキング」で戦闘中はオペレーターとして部隊を支援する。だがその実体は精霊回路を持つ「精霊使い」。乾神要さんの第五世界における同一存在。
新設された磯島戦車学校の人型歩兵小隊に落ちこぼれの学兵達が集められるところから物語はスタート。何かといえば話がポーランドに脱線する小太刀教官の話にそれぞれの特技で耐え、結束を深めていく隊員達。だが、ある日「サクラ大戦５」を握りしめ酒瓶を抱え込んでいた用務員（元海兵）の高田さんが校舎裏で謎の死を遂げた！ 人間に隠れ潜む幻獣の仕業だ！
学内に幻獣共生派*2がいると睨んだ隊員達は調査に乗り出し、民明書房と軍事理論とハッキングを駆使して、犯人が「神と宇宙人がいるアチャラカな世界の復権」を夢見たケントの先輩であるヤス百翼長であることをつきとめる。初機動ながら中型幻獣ケンタウロスに変身したヤス百翼長を撃破する松原。
だが、幻獣共生派が隊内にいたことは軍内部での彼らの立場を悪くし、枚方市民センターの仮設司令部で査問にかけられる小隊。だが、「だいたい軍隊なんだからそんな前面投影面積が」「歩兵のほうが絶対強いよ」と強弁する長谷川将軍の弱みをハッキングで握り、理論武装を行い、だましすかしおどして、逆に隊の独立権を手中に収めた。
そしてついに初出撃の日が来る。陸自が千里中央駅で大敗し、幻獣は新御堂筋を下って一気に江坂までなだれ込んだ。かつてファミコンジャンプ世界を救った時に能登がてにいれた「きんとうん」に乗り、東三国駅に着陸する小隊。「番長学園！ ＲＰＧ」のルルブを取りに行ったために逃げ遅れた青年、猫町を救い出す加納。ケントの精霊がミサイル群をそらし、能登のマッドスクリプトが現実を書き換え、加納の４８の殺人技が大型幻獣を粉砕する。そしてすり足からのジャイアントアサルト＋大太刀を駆使する松原の士魂号は、舞うように幻獣軍の全てを粉砕した……！
かくてここまで一時間。いや、死ぬほど面白かったです。
ゲテモノ扱いされることもあるこのＲＰＧですが*3、セッションを安定させる力、プレイヤーの楽しさを引き出す力については本当に素晴らしいものがあります。
たとえば、加納やのとすさんがどれほどはっちゃけていても、成功要素としての価値は「アバン流刀殺法」と「精密射撃」、「ロケットパンチ」では全部等価。*4
他人の行動を支援できることで、常にヒマにならないシステム。「万能成功要素の禁止」によって、強すぎる設定をセーブし、幅広く他人に自然に譲り合うようになるという滑らかなシステム進行。
ただそこにある物語、物語の面白さ。プレイヤーとＧＭがわかりあった、なりきりと演技による口プロレスの快感だけを求め、その快感のために精密化されたシステムと言えばよいのでしょうか。
「最近のゲームは同じようなのばかりでつまらないね」と斜に構えているそこのアナタ、これは買いです。是非。*5
