D&Dを遊んだよ

まあ、商売だからTRPGというのは当然遊んでいるわけです。できることなら毎日遊んでいたいのですがそうもならず、最近は出たRPGはひととおり遊ぶ程度に落ち着いております。
とはいえプレイ内容はテストプレイだったり公式シナリオだったりしてそうそうお話しできないんですけれども、今回は「書いてください」と言われたのでおおっぴらに書くですよ!
ネタは

鬼哭き穴に潜む罠 (ダンジョンズ&ドラゴンズ冒険シナリオシリーズ)

鬼哭き穴に潜む罠 (ダンジョンズ&ドラゴンズ冒険シナリオシリーズ)

プレイしたのは発売前なのですが*1、メンツはDMが桂令夫氏、プレイヤーが藤浪智之氏、三輪清宗氏、あとは後輩ライターの重信康氏という大変豪華なメンツ*2
ネタバレにならない程度にシナリオを紹介しますと、村はずれの洞穴に住むゴブリンが凶暴化したので助けて欲しい、という依頼を聞きつけた冒険者の一行が地下迷宮に挑む、という大変オーソドックスなもの。
ところがこれが面白い!
まずなんと言っても、大変ドラマチックなんですね。街の人々から怪物たちに至るまで大変個性豊かで、とにかくキャラクターとしてロールプレイするのが楽しいのなんの。交渉担当のハーフリング・ローグだったあたくしはもちろん、GMも含めたすべてのPCがいきいきと演技を楽しむことができました。
もちろんゲーム自体もたいへん洗練されておりまして、DMの桂さんはただの一度もPHB*3以外の本を開きませんでした。怪物や罠のルールはすべてシナリオに乗っているので、他のソースブックがなくても遊べるという大変親切な設計。
ダンジョンのボリュームもこれがまた実に過不足なく、血で血を洗う激烈な戦闘、深みのある世界観を匂わせるさまざまなロールプレイ、悪漢たちとの手に汗握る交渉、思いも寄らない恐るべき真実と、極めて英雄的な最終決戦に至るまで、同じ遭遇がひとつとしてない大変贅沢な設計。
もうまさにハリウッド映画を彷彿とさせる、贅沢なおいしさが抽象化され、遊びやすくまとめあげられた名シナリオ中の名シナリオといえるでしょう。


キャラクター作成から開始した実プレイ時間は約8時間。1日できちんと遊びきることができるよいボリュームでした。10時に集合するプレイグループなら、ご飯に1時間かけても19:00にはゲームが終わる計算です。
世間にはしばしば「D&Dは一日では終わらないのであるまいか」と恐れをなす人もいるようですが、『鬼哭き穴』から始めればそんな心配も吹き飛ぶと思います。
もちろん、桂さんが何か魔法のような裏技を使ったわけでもありませんし、我々がただ早解きに執念を燃やしていたわけでもありません。どちらかというと、キン肉マンII世だのFローズだのピザだのの話で盛り上がっていたほうが長かった気さえします。

インスタントかつスピーディ。奥の深さと入りやすさを兼ね備え、複雑さが微塵もないすっきりしたルール。
洋の東西を問わず、TRPGは進化してきたのだと感じますし、偉大な先達とともに、その進化の一翼を担えることを大変に光栄に思います。


まあ何が言いたいかというと、『鬼哭き穴』は大変面白かったし遊びやすいので買うとエエよ、ということであります(笑)。
実際手にとっていただければ、その遊びやすさがきっとわかるでしょう。誰でも、買ったその日から、心躍るヒロイックな冒険が楽しめる。D&Dのすばらしさを再確認できる傑作シナリオですよ。

赤い手は滅びのしるし (ダンジョンズ&ドラゴンズ冒険シナリオシリーズ)

赤い手は滅びのしるし (ダンジョンズ&ドラゴンズ冒険シナリオシリーズ)

そうそう、『鬼哭き穴』と、先日出たキャンペーンシナリオ『赤い手は滅びのしるし』はゴブリン退治ネタということで共通点があります。桂さんとちょっと話したのですが、鬼哭き穴を解いたPCを5レベルまで育てて『赤い手』にシフトするのも一興ではないでしょうか。

*1:具体的にいつなのかはそのなんです、察してください

*2:ちなみに藤浪さんのPCはあの伝説の髭小人“赤熊”!。STR19から繰り出されるグレートアックスでばったばったとゴブリンをなぎたおす

*3:プレイヤーズ・ハンドブック。D&DはプレイヤーはこれさえあればOK