加藤登紀子雑感

全曲集「百万本のバラ」

全曲集「百万本のバラ」

加藤登紀子は、私に取って母の思い出である。
なにをマザー・コンプレックス的なことを、とおっしゃるかもしれないが、ともかく母は加藤登紀子が好きだった。
幼い頃、いつも母のそばには加藤登紀子が流れ続けていた。母は子守歌を歌わない人だったが、音楽はふんだんに与えてくれた。
私の中に眠る革命や芸術への憧憬、道化じみた恋への陶酔のいくばくかは、加藤登紀子によって与えられたものだろう*1

そんな加藤登紀子だが、ちょくちょくカラオケで歌うことがある*2
先日も後輩たちとの集まりで披露したところ、望外の好評を賜わった。
拍手さんざめく中聞かれたのは、「ところで、なんてアニメの主題歌ですか?」というもの。


……歌い手の日頃の行ないが忍ばれる話である。*3

*1:もちろん、他の作家の影響はいくらもあるが

*2:ご想像の通り決して上手くはない

*3:ちなみに、加藤登紀子氏は『紅の豚』の主題歌と、ヒロインの声優を務めておられる。屈指の名演なので必見