よた話

そのうち何かのサポート記事に再掲するかもしれませんが、自分がプライベートで『天下繚乱』のプレイヤーをやっていてGMに聞かれることが多いので一応。

「ナントカの守」っていうのはどうつけてるの?

というやつです。大岡忠相が越前守、鳥居耀蔵が甲斐守、エンピツを削るのは肥後守でございますね。
基本的に、えらい人を名前で呼ぶのははばかられるものでございますから、「越前守さま」とかそういう呼びかけにいたしますと雰囲気が出ます*1
で、これはナニカ? と申しますとですね、

武家官位、ともうしまして、一言で言いますとお武家様の格付けでございます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%AE%B6%E5%AE%98%E4%BD%8D

乱暴な申し方をいたしますと武士てえものはヤクザとあまり変わりませんで*2、大変メンツにうるそうございます。ですから、誰が誰より上で、誰は誰より下だ、てえのをちゃんと決めないといけません。そのために、朝廷のお公家様の官位を流用したんですな*3

かくして! ベンベン、このへんは誤解を恐れずに言えば、「家の格に応じてカッチョいいのがついていた」ということになります。単なる名誉職で、京都で仕事をするわけでも土地がもらえるわけでもありません。お侍はたくさんおりますから重複もやむなし。
もちろん、「幕府ゆかりの三河守はやめとこう」「山城守*4は畏れ多いんでやめとこう」「薩摩守は島津のお殿様だけだろうなんぼなんでも」という様々な規制はあったそうですが、あとはノリでついていたようでして、たとえば同じ時代に同じ官位のお武家様が二人いた、というのは珍しくありません。たとえばかの鳥居甲斐守が甲斐守を拝命した時には、小普請奉行に曲淵甲斐守てえ方がいらっしゃったんで、「甲斐守が」「どっちの?」「妖怪*5のほうだよ」てえ渾名が付いたくらいです。というわけで、こだわらない限りは、なんとなく旧国名からかっこよさそうなのを取ってきて、「ナントカの守」としてしまえば話は回ります。基本的に御奉行様は、それが勘定奉行でも寺社奉行でも町奉行でも「ナントカの守」ですので、時代劇をやるぶんには困らないかと。

以上、とりとめもない記事でしたが、ナニカの参考になりましたら幸いです。

追伸:何を言いたいかと申し上げますと、要するに毎シナリオ甲斐守や越前守が出てきてもかまわないしそこで考証おかしかね? と悩む必要はないよ! ということであります。

*1:やりすぎますと非常に面倒になりますから適当に

*2:これは逆で、ヤクザが武士に似ているんだ、というお話もあります

*3:ごくおおざっぱな説明でございます。実際にはそもそも武士階級発生以来のながいながーい闘争がありますが、まあとりあえず簡単にここではまとめておきます

*4:京都の領主ってえ意味ですな

*5:耀蔵甲斐守、略して妖怪