GURPSエリア88「渓谷の虹」

中欧の平和な小国ケルンテン。だが、資源と独立を巡る争いから北方三州はグリューネラント共和国として独立を宣言。イラクに世界の目が注目する中、人知れず欧州の片隅で航空戦が始まった。劣勢に追い込まれたケルンテン王家が独自に組織した命知らずの傭兵部隊、その名はエリア88*1
というわけでPCはこのような塩梅。


チコリー・キンナバ
アフリカやら何やらよくわからない混血のアメリカ人女性。金髪碧眼デカパイ。井上純弌をリスペクトして作られたとかなんとか。幼い兄弟や家族の生活費をまかなうために犯罪者にでもなるか、と思っていたところでイラク戦争が始まり、軍に志願して戦闘機乗りになった移民アメリカ人。イラクから帰還後も平和なアメリカに適応できず、傭兵としてエリア88の門を叩いた。
機体は電子系や操縦系を近代化したF−14Aトムキャット。PLはのとすさん。


アルトゥーロ・ドリス
スキンヘッドのバスク人バスク解放同盟に所属しスペイン政府と戦っていた解放運動の闘士。カダフィー大佐が主催したテロネットワークに参加し、フィリピンの先住民系反政府組織アブサヤフに参加。マルコス政権打倒とかに微妙に関与。カダフィーの変節と冷戦構造の崩壊を目の当たりに、改めて悲願であるバスク解放のための金集めを行うべく、フィリピン撤退時に米軍が忘れていったB−1を奪取して傭兵になった男。前歴のほうがシナリオよりハード。
機体はB−1Bランサー。PLはカイザー三輪。


基地のあるアルトリンゲン市北方、トゥランド渓谷に展開した敵機甲師団を叩きに出撃したエリア88チコリーのF−14が戦闘開始早々エンジンに流れ弾を喰って炎上するも、上空制圧と対地支援の両方をこなして帰投する二人。
その夜、飲みに出かけた小さなバーで陸軍の酔漢達に絡まれていた酒場娘のネルを助けるチコリー。殴りかかってきた大男を、チコリーは得意のボクシングでブチのめす。*2
数日後、トゥランド渓谷に作られた地下防衛ミサイル要塞の攻撃任務に駆り出された二人。高度150m以上を飛ぶ航空機を無差別に攻撃するこの要塞を超低空侵入でピンポイント破壊できるのはPCたちだけなのだ。襲いかかるツングースカ対空戦車、Su−27の編隊、そしてエースらしき真紅のSu−27Sを山肌ギリギリのドッグファイトで撃破し、基地にバンカーバスターをたたき込んで帰投するPC達。
報酬のついでにもらった特別休暇で飲みに出かける二人。だが、彼らが見たのは、グリューネラントのゲリラとして軍に追われるネルだった。「あたしの兄が今朝、88のパイロットに殺されたわ」とPC達に銃を向けるネル。「そいつを落としたのはオレ達だ」と淡々と語るアルトゥーロ。そしてチコリーは「それでも、あんたの店であたしたちが安らいだのは本当のことだよ……」と逃走路を示す。*3
礼を言わず立ち去るネル。見送る二人のPC。夜の闇に滑走路が広がって、スクランブルの音が……とまぁ、そういうシナリオでした。*4

*1:設定の基礎自体はN95「鋼鉄の虹」を借用

*2:このへんはガープス・マーシャルアーツが非常に楽しく使えました

*3:BGMは「塹壕の棺」

*4:元ネタが明瞭なのは、ほら、あれだ