攻殻機動隊2.0見てきました
GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 Blu-ray BOX 【初回限定生産】
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2008/12/19
- メディア: Blu-ray
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『攻殻機動隊』*1という映画に触れてから、もう十年以上の時が経ちました。
劇場で見た記憶はありませんので、確か96年か97年、高校生活の終わり際にビデオで見たんだったと思います。
お前そんな曖昧な、押井ファンじゃなかったのかよ、とツッコミが聞こえてきそうですが、当時はそこまで押井ファンだったわけでもなく、そもそも映画を見るリテラシーというものがあったのかというとそもそも疑問であります。
したがって正直、「作画が士郎正宗ほどエロくない」という感想に終始し、興味はおりしも列島を席巻していたエヴァブームに流れていったわけです。
無論、大学に入ってからヒマをもてあまし、来る日も来る日も三輪や加納と押井映画ばかり見ていたあの頃に否応なく押井リテラシーというものを理解し、やがて井上純弌*2と氷川竜介*3という二大巨頭の評論との出会いによって少年の苦悩は法悦に至り、体脂肪率と理解度らしきものは増大し、社会からの隔絶はそれと等比級数的に増大して行ったわけであります。嗚呼誰が知る三尺下の水の心、一国が強くなるのが国民の自覚なら原を脱稿するは作家の自覚にあり、誰か励声一番、南と叫んで重囲に馬を突入せん。
……ともあれ。
干支が一回りした自分がまた『攻殻』を見るというのはどんな気持ちなのだろう、と考えて劇場に足を運んだ次第であります。
DVDで見る映画にはもちろんその良さがありますが、闇の中、銀幕に映し出されてただ映像と音楽にのみ没頭できる空間というものは、これは格別であります。
さて今回のリメイクですが、個人的には本当に素晴らしいものでした。前作よりもよりヌーヴェルバーグ的であり、エロティックを通り越して淫靡、近未来というものの硬質的な背徳感が強められ、自分が十年以上「こうだったらいいのにな」「ここはなんとかならないかな」と思っていた違和感がすっきりと落ちた感じでした*4。
本当に気持ちの良い、よく練られた改訂版でした。
何となく「年を取ったナア」という日記のような気もしてきましたが、とりとめもないまま終わります。