その2・その男は帰って来なかった

果たしてどこまで続くかわからない不定期連載。とりあえず二日目。


あれは確か、『カオスフレア』が出る前でまだ大阪にいたころなので四年ほど前。
最近新版の出たアジアンパンクRPGサタスペRemix+』を遊んでいた時のお話。
追加サプリメント“ロケロラ”を導入して、PCたちがロックバンドである、という設定の元にシナリオを転がしていた時でございます。
シナリオ自体は付属のものを大変楽しく終えまして、ついでにひとつ、自分たちのバンドのCDを作ろうじゃないか、という話になりました。*1
それは大変面白い、幸い先ほどのギグも大いに盛り上がった、オレたちなら天下を取れるに違いない、と一同大いに盛り上がりまして。
で、レコーディングと相成ったわけです。CDは無事完成し、千枚のディスクが無事オオサカに出回ることになりました。
ところが。
実際の売れ行きはサイコロ2個振って出目で決まるのですが、そこで出た目は「4:企画がぽしゃって販売中止」。まあそんなこともあるか、と誰もが苦笑いしたとき、ひとりのシンセシス*2が立ち上がりました。


「オレがレコード会社とナシをつけてくるぜ」


そうです。
確かに〔生活〕*3判定に成功すれば、セールス表を成功度だけずらすことができます。
そして彼はやりとげました。精神点を突っ込み、そしてあきらかにプレイヤー自身のリアルラックが燃え尽き、出した成功度は8。4+8で12といえば「大阪音楽大賞を受賞」です!
やった! オレたちは明日からビッグスターだ!
わき上がるメンバーたち。
ですが、そこにシンセシストの影はありませんでした。
精神点をフルに突っ込んだ彼は14番表*4送りになり、二度と帰らぬ人となったのです。
エンディングは大阪音楽大賞の授賞式。
リーダーは言いました。「バンドは今日をもって解散します。あの男がいなければ、オレたちはバンドを続けていく意味がありません」と。
一同マジ泣いていました。キャンペーンにする予定もあったのですがマジでどうでもよくなりました。
CDひとつ売るために命を捨てたロック野郎を悼んでその日は飲み明かし、一同大変満足したと言います。

*1:そういうルールがついてきた

*2:プレイヤーは梶岡貴典氏。最近だと『エルスゴーラ』の二本目のシナリオとか書いてる人

*3:キャラクターの生活力をあらわす能力値

*4:精神や肉体の限界を超えた人が送られる表。たいてい死ぬか、ひどい目に合う