新刊案内

というわけで『異界戦記カオスフレア』初のTRPGリプレイ、『世界の卵』が無事発売になりました。
親友想いの女子高生、綾瀬姫子*1が迷い込んだファンタジー世界オリジンで、親友を、そして世界を救うため冒険する正統派ファンタジーリプレイ*2であります。
リプレイだけでなく、己の鍛えられた肉体を武器に戦う“フィストウォーリアー”、夢と希望を守る“魔法少女”、気合と根性ですべてを解決する“番長”の3つのブランチが追加。大変お買い得な逸品となっております。


ここでちょっとお断わりを入れておきますと−−−−だいぶいまさらですが−−−−TRPGてえものは、GMと呼ばれる進行役と、プレイヤーと呼ばれる数名の遊び手が、一定のルールに乗っ取って冒険をするという、MMOやコンシューマRPGの先祖に当たる、大変におもしろい遊びでございます。
たとえばこんな案配。

GM:サテ、君たちの目の前には幅は5メートル、長さは30メートルほどもある回廊がある。たいまつの明かりで、回廊の向こうはよく見えない。
プレイヤーA:成る程。回廊の具合はどんな感じだい? 罠や危険がないかどうか調べたいのだが。
プレイヤーB:では、私は後方を警戒しているよ。この弓で、怪物が間合いに入ってきたらズバン! とやる。
GM:いいだろう。ではBは弓を構えた。A、キミは〈知覚〉技能で判定してくれ給え。達成値が高いほど、多くの情報が得られる。
プレイヤーA:成る程。このサイコロを振って、〈知覚〉の技能の数字に足したものを申告すればよいのだね。
プレイヤーB:そうだ。その合計を達成値と呼ぶのだよ。
プレイヤーA:合点がいった。
プレイヤーC:それにしても、どうして我々は戦前の通信販売のような口調で喋っているのだろう。まったく不思議だ。
C以外:(聞こえないふりをする)
プレイヤーA:サイコロの目は13だ。ふむ、〈知覚〉の数字は9だから、達成値は21だね。
GM:(シナリオ*3では、達成値が20以上ならば成功とあるな)では、君は異常に気がついた。あたりの廊下にはチリやホコリがつもっているのに、この回廊にはそれがない。
プレイヤーC:ホコリがつもっていない。サテ面妖な。
プレイヤーB:これは君、奇っ怪だ。猟奇だよ。
プレイヤーA:(思案して)ははあ、これは妖術だな。幻覚の呪文を使って、落とし穴か何かをありもしない廊下に見せているのさ。
プレイヤーC:だからホコリがつもらないのか。
プレイヤーA:おそらくね。GM、近くの小石を拾って、回廊の床に投げてみるよ。
GM:成る程。すると、小石は床をすり抜けて、ヒューッ、という音を立てて風を切った後に、遠くでカラン、という小さな音を立てて消える。
プレイヤーB:よほど深いな。
プレイヤーA:さてどうする。ロープをかけてこの断崖を渡るか、それとも脇道を探すかだが…。

だいたいこのような具合です。『異界戦記カオスフレアSC』はあたくしと、共著者の三輪清宗の両名が作ったTRPGの一作でして、リプレイというのは、そのTRPGのプレイ風景をおもしろくまとめ直したものです*4。カオスフレア以外にもたくさんのリプレイが刊行されておりますので、是非読んでいただければと思います。
これからもちょくちょくTRPGの話をいたしますが、何かありましたらお気軽にお問い合わせください。

*1:プレイヤーは本文のイラストも担当していただいている渋沢佳奈先生

*2:ここで正当ファンタジーとは何か、と言い出しますと、話は哀れグダグダの因果地平に飛んでいきます

*3:迷宮の地図や事件のあらましなどを書いたもの。往々にして変更される

*4:スポーツの名場面集や落語の速記本のようなものです